学校の必要性について考える2―学校は社会性を身につける場なのか?

学校に行く意義ですぐに思いつくのは、「社会性を身につける場」というものです。確かに、学校に行くと、家で家族や親しい人とだけ付き合っている時とは違う、色んなことがありますが、これが思い通りにならない世の中での対処の仕方を身につける上で、貴重な機会になる気がします。ホームスクールでのポイントは「どうやって学校以外で、社会性を磨くための、継続的に人と交流できる場を持つか?」ということかなと思います。
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義務教育の学校は元々労働者に識字能力を身につけさせるためにつくられた

今読んでいる本、「限界費用ゼロ社会」では、
義務教育の学校が必要になった第一次産業革命の時代背景を、
こんな風に記しています。

「蒸気を動力源とする高速で安価な印刷は、ヨーロッパとアメリカ全土で大衆に識字能力をもたらす運動を促進した。第一次産業革命とともに登場したより複雑な業務に必要なコミュニケーション技能を、未来の労働者に身につけさせるために、新たに工業化された都市では、公立学校制度が確立され、義務教育体制が敷かれた。」
ジェレミー・リフキン著 柴田裕之 訳 『限界費用ゼロ社会 <モノのインターネット>と共有型経済の台頭』 72ページより抜粋)

つまり、
現代の義務教育の学校は、
約200年前、複雑な機械が次々登場し、
巨大企業が現れ、
社会の仕組みが急激に複雑化する中で、
そうした変化に対応できる労働者を大量に確保する必要性から生まれた、
ということではないでしょうか。

なので、当初の義務教育学校の役割は
「将来工場などで働く労働者になる子ども達に、読み書きを教えること」
であったようで、
「社会性を身につける場」、という機能は、
後から付け足し的に言われるようになったものではないでしょうか?

その部分を頭のすみに置いた上で、
社会性をどうやって身につけるのが良いか、
ということを考えてみたいと思います。

「社会性」ってそもそも何なの? どうやったら伸ばせるの?

「社会性」についてちょっと調べてみましたが、
それぞれちょっとずつ違う観点から書かれていて、
実は心理学的にはっきりした定義は無いようなのです。。

ただ、大きく、次の二つに分けられるように思いました。

1)対人関係力――――人を信頼して尊重できること

2)集団への適応力――周りの人達と調和しながら行動できること

1)の対人関係力について

家庭や地域や、その他の居場所的なところでも、
いろいろな人と関わり、信頼関係を築く経験を積みながら、
十分伸ばすことができると思います。

2)の集団への適応力について

温かくて優しい家の環境から出て、
学校に行くと、
思い通りにならないこともたくさん出てくると思いますが、
そういう中で、自分のあり方を模索するうちに、
徐々に集団の中での立ち位置を学んでいくのではないかと思います。

これはホームスクールだけでは弱い部分かなと思います。
学校に行かない場合、
習い事で良いので、集団で行動するところに定期的に参加することを
専門家の方に勧めて頂いたことがありました。

私としては、出来れば、習い事以上に長時間滞在できる、定期的に通える場所を確保して、
必ずしも思い通りにならないところで、
どうやって周りの人達と調和しながら継続的な関係を結んでいくか、
という部分も伸ばして行けるように出来ると良いなと思っています。

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社会性を身につける場を見つける工夫が必要

現代の学校が作られる以前は、
子どもは家庭や地域で色々な年齢の様々な立場の人達に囲まれて育ち、
社会性、対人関係力も集団適応力も、
そういう中で徐々に身につけていたのではないでしょうか。
なので、学校がないと社会性を育てられない、という訳ではないと思います。

ただ、現代は、昔と比べて核家族化し、親は両親とも仕事で、兄弟姉妹も少なく、
地域の関係性も希薄になっていると思います。

なので、学校なしで、昔と同じような環境を作り、
昔のようなやり方で社会性を育てることは、
今はなかなか難しいと思っています。

家に居るだけでは社会性についてはなかなか伸ばしにくいのは事実だと思いますし、
居場所の確保、習い事、キャンプなど集団行動への参加など、
ホームスクールを行う場合、いくつかの工夫を加えて、
社会性を身につける場を確保していきたいと思います。

学校というシステムが合うなら、ものすごく有り難いもの

たとえ元々義務教育の学校が、
工場で働く人たちを養成するために、
読み書きを学習する場として作られたものであったとしても、
今の日本の大多数の子ども達にとって、
学校の果たす役割は、読み書きの勉強だけにとどまらないものになっています。

毎日行く場所があって、
読み書き計算も習うことができて、
遠足や運動会や文化祭などイベントにも参加させてもらえて、
友達をたくさん作れて、
集団で協調して何かを成し遂げるという経験もでき、
しかも公立の小中学校ならほとんど費用がかからない、

というのは、それはそれで、なかなかすごいことではないでしょうか?

また、子どもが昼間学校で問題なく楽しく過ごしてくれれば、
親は昼間の時間を、
仕事や家事やその他必要な活動に充てられます。

もしお子さんが元気に楽しく通ってくれるなら、
学校というシステムは、子供だけでなく、親にとっても、
ものすごくありがたい仕組みなのではないかと思います。

学校もサポートの選択肢の一つ、
と考えれば、
「どうしても行かせなくちゃ」
と思っているより気が楽ですし、
良い点もたくさん見えてきます。

他の選択肢もみつけたり、
いくつか組み合わせたりしながら、
うまく回しつつ、子供の社会性も育てていけたらと思っています。

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