特に教育に深い関心を持っていた訳でもない一般的な親御さんにとって、もし子供が不登校になったら、子供が心配になり、ショックを受けるのはごく普通のことかと思います。心理的、精神的なショックを乗り越えるまでの過程には、心理学的な研究がたくさんあるそうで、今どの位置にいるのか、客観的に把握できれば、ちょっと楽になることもあるかと思い、まとめてみました。
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子供が不登校になったら親はショックを受けるのが普通だと思う
元々ホームスクーリングをしようと積極的に選択されている方々には当てはまらないかと思いますが、
「子どもは学校に行くもの」
と、何の疑問もなく、何となく、子供を学校に送り出していたお母さんにとって、
ある日、ある時期から、
「自分の子供が不登校になった!」
というのは、結構(かなり)ショックな出来事だと思うのです。
「子どもの未来はどうなっちゃうのだろう??」
って、心配でたまらなくなるだろうと思うのです。
急なショックに直面した人間の心の動きには、
ある程度共通性があるようで、
心理学でずいぶん研究されてきたようです。
回復までの過程もある程度共通です。
そういった過程について、ちょっと調べてみました。
フィンクとコーンの危機モデル(理論)と段階的な回復について
急にショックを受けた場合(ショック性の危機)の理論は、
フィンクとコーンという人の理論が有名なのだそうです。
その過程は、
<コーンの分類>
ショック → 回復への期待 → 悲嘆 → 防衛 → 適応
<フィンクの分類>
ショック → 防御的退行 → 承認 → 適応
だそうです。
二つの理論には違いもありますが、共通する部分も多いように思います。
大ざっぱに私なりに解釈して、下のようにまとめてみました。
<ショック>
びっくりし過ぎて現実感が無かったり、すごく不安になったりする状態。
↓
<現状否認と落ち込み>
現状を受け入れられなくて「すぐに元に戻るはず」と思ったり、
ものすごく深く落ち込んで、悲しくなったりする状態。
↓
<葛藤しつつ受け入れ始める>
段々と現状を受け入れるようになり、少しずつ前向きになっていく段階。
↓
<新しい価値観>
ショック以前にはなかった価値観が芽生えて、新しい人生観を得て楽しく過ごせるようになる段階。
<参考リンク>
医療職者のための危機モデル http://crisis.med.yamaguchi-u.ac.jp/model.htm
障害受容の過程と段階 http://rehab-idea.com/syougaijuyou/
自分は今どの段階にいるのか? 客観的に把握できれば結構楽かも
自分は今どの段階にいるのかな~?
と、客観的に見ることができれば、
自分よりお子さんの不登校を明るく受け入れて元気そうなお母さんに出会ったら、
「なるほど~、私は今悲嘆の段階で、あの人はもう適応の段階か~」
などと、妙に納得することもあるのではないかと思います。
また、適応の段階の人が悲嘆の段階の人を見たとしても、
「もっと前向きになればいいのに」
ではなくて、
「私もそういう段階があったな~」
と思い出して気持ちを共有できるようになったりもするのではないかと思います。
長期的なストレスによる「消耗性の危機」というのもあるらしい。。
気持ちをわかってもらえる人がなかなか見つけられなくて、
周りからのプレッシャーで慢性的にストレスにさらされていて、
最初は健気に頑張って対応していたのだけれど、
だんだんと耐え切れなくなってきて、危機におちいる、
という、
「消耗性の危機」
というのもあるそうです。
こちらはアギュララとメズイックという方々がご研究されているようですが、
下の3つが揃っているかどうかが、
危機を回避できるかどうかの分かれ目だそうです。
1)出来事に対する現実的な知覚
→「あの人は〇〇しようとしている」などと決めつけないで、ニュートラルに物事を捉えられること。
2)適切な社会的支持
→ 認めてくれて支えてくれる存在を見つけられること。
3)適切な対処機制
→ 通常の社会生活を送るのに必要な他者への気配りなどをする余裕があること。
<参考リンク>
心筋梗塞による重症心不全を発症した長期臥床患者との関わり~アギュララの問題解決危機モデルを用いての分析~
本当にしんどいときには、
1)とか3)とかは、どうしても通常より落ち込んでしまいがちです。
出来るだけ早めに、2)の「認めて支えてくれる存在」を見つけるのが大事かなと思いました。
もし、消耗性の危機、が気になるような状況でしたら、
地元の親の会を見つけられれば行ってみるのも良いと思いますし、
Facebookにもグループがいくつかあるので、参加してみるのもありかと思います。
自分に優しくしてあげられる環境を、早く作ってあげてくださいね。